iPad Pro解像度を分かりやすく比較。なぜ漫画は綺麗に表示されないのか?
『このすば』初回限定特典をGETできてホクホクの佐々木です(><)b
さて今回は、iPad Proの解像度についてお話しましょう。
分かっているようで意外と分からないのがこの解像度という指標です。
しかもいろんな用法で使われる言葉なのでやっかいさに拍車がかかっています。物理解像度とか理論解像度とか、画面だったり印刷だったり光学だったり。
かてて加えてRetinaディスプレイの登場により、その混迷度合いは拍車がかっております(^^;
今回はiPad Proの解像度についてなので、印刷用途は割愛して、いわゆる『画面解像度』を中心に、できる限り分かりやすく、iPadと他ディスプレイと比較などもして説明を試みたいと思います。
とくに、iPad ProやiPad(無印)でマンガを読む方はぜひご参考になさってください。マンガ誌面が、妙にぼやぁっとすることがありますが、その理由が分かるかと思います(^^)
※以下、iPad Proと書いていきますが、iPad(無印)9.7インチでも同じです。
[このページの目次]
なぜ漫画は綺麗に表示されないの?
美しい画面で、可愛い女の子のマンガを楽しむ──誰しも至福のひとときかと思います!(違う?)
iPad Proは、Retinaディスプレイといってめっちゃ綺麗な画面になっておりますから、それはもうガラス越しに紙を見ているかのようなのです──
──マンガ1ページの解像度が264ppi以上であれば。
Kindleで電子書籍マンガを購入して、iPad Proで読んだことある方ならお気づきかと思いますが、Kindleマンガって、誌面がぼやぁっとしていることがありますよね。
輪郭線がぼやけていて、画像を無理やり引き伸ばした感じというか。
この現象も解像度が関係しています。
次項からなるべく分かりやすく説明していきますが、先に結論をいえば、Kindleマンガは、データのほうの解像度が足りていないこと多いのです。
だからiPad Proの画面が如何に高解像度でもマンガ画質がよくならないのですね。iPad Proが高解像度であるからこそ、Kindleマンガ画質が悪く感じるともいえますが。
2017年7月現在、iPad Pro 10.5インチの解像度は、縦横のピクセル数は2,224×1,668(絶対解像度)、1インチあたりでは264ppi(相対解像度)です。これは、ディスプレイとしては非常に高解像度なのですが、映し出されるデータもそれに対応しないと、せっかくの高解像度ディスプレイは活きません。
マンガは、1ページが画像データになっているわけですが、『解像度が低い』とは『画像が画面サイズより小さい』ようなものなのですね。(絶対解像度には実際の大きさはないのであくまでも例え)
その小さな画像を、10.5インチの画面サイズに無理やり引き伸ばしている感じです。引き延ばせば当然、画質はぼやけます。
だからこれはKindleマンガデータのほうの問題なので、ぼくらユーザーではどうすることもできないのですね。残念です(ToT)
ちなみに昔は、Kindleで電子書籍を作るときの容量制限が厳しくて画像はおしなべてぼやけたのですが、いまは大容量画像もアップすることができるようになってます。(解像度が高いほど画像容量も大きくなります)
Kindleマンガでも、綺麗に見えるマンガもあることから、画質の良し悪しは、出版社側の対応次第ということでしょうね。
ぼくの購入経験では、中小出版社は綺麗なKindleマンガであること多いです。裏表紙や背表紙、カバー裏のオマケマンガまで収録してくれてますし、マンガ好きの心をくすぐる丁寧な作りです(^^)
自炊書籍を作るときの最適な解像度は?
解像度がよく分からなくても、決められた数値を設定しておけば実用面では問題ない、ということを先にお伝えしておきましょう。
今回は、スキャンした画像やPDFデータをiPad Proで表示するときの数値をご紹介します。主に自炊書籍のことです。
書籍を裁断→高速スキャン→データ化することを自炊と呼び、できあがったデータを自炊書籍などと呼んだりします。
なんでそんなことをするのかといえば、一にも二にも収納場所確保のため。自室を占拠してた大量のマンガも、自炊をすれば手のひらサイズのストレージに収まります。
そうしてiPad Proなどのタブレットで読むわけです。
この自炊ですが、スキャンの際には注意が必要です。
これまでは『ディスプレイ表示するだけなら解像度72dpi(または92dpi)で十分』が定説でした。
ですがiPad Proは違うのです!
iPad Proのディスプレイはあまりに高解像度ですから、72dpiでは、自炊書籍がキレイに表示されないのですね。
なので、iPad Proで表示させたい紙をスキャンするときは、印刷する際と同様に300dpiで取り込むのが吉でしょう。
iPad Pro 10.5インチ/12.9インチの解像度は、どちらも264ppiですから、これ以上の数値で取り込まないと画像が汚く見えてしまう、というわけです。
きっちり264dpiで取り込んでもいいですが、iPad Proがいま以上に高解像度になったときに備え、ちょいと余裕あるほうがいいと思います。
ちなみに、さっきから単位がdpiだったりppiだったりしておりますが、詳しくはのちほど。
そして今後は、iPad Proに限らず、ディスプレイはどんどん高解像度化していくでしょうから、どのように見るにしてもスキャンは300dpiで取り込むのがよいでしょうね。
つまり、A4サイズに印刷するのと同じ設定でデータをスキャンしましょう、となります。iPad Proの画面は紙並の表現力なのです。
ちなみに解像度は、高くしても350dpi〜400dpiが最高値でしょう。
iPhone 7 Plusの解像度が401ppiなので、これを最高値として見ています。
それ以上の高解像度にしても、人間の目は、そのきめ細やかさが視認できないそうですし、保存容量も無駄に使うことになり、表示も遅延したりもしますので、解像度が高すぎても問題が出るのですね。
画面の仕組み
ではいよいよ、解像度とはなんぞや?についての説明です。
解像度を理解するためには、先に「画面はどういう仕組みで表示するのか?」を理解する必要があります。
画面表示の仕組みは『点描』です。点描とは、点の集まりによって絵を描く技法のことですね。ぼくは、小学生のとき図画工作で描いたことあるのですが、皆さんはどうでしょう?
まぁこの辺は見てもらった方が早いでしょう。Google画像検索での点描をご確認ください。
『画面は点描のように表示する』ため、画面を顕微鏡で極めて拡大して見ると、微細な点の集まりとなります。この点は、基本的には正方形となっており、この正方形の中に赤・緑・青の3色が入っています。
こんな感じです。
このちっちゃな正方形が赤緑青に発光し、光が混ざって見えることで様々な色を表現するわけです。
この現象を『光の三原色』といいます。中学校くらいで習ったのかな?
というわけで『画面は、超小さい正方形がビッチリ並んでいる』と覚えておきましょう。
この『超小さい正方形』のことをピクセルといいます。日本語に直すと画素。ピクセル=画素ということです。
ちなみに画素といえば一昔前のデジカメ性能を表す言葉でした。100万画素とか500万画素とか。
なのでこれは、100万ピクセルとか500万ピクセルとかにも言い換えられるわけです。
例えばiPhoneやiPadのカメラ性能は『12メガピクセル』などと表示していますが、これを一昔前の表示に直すならば1200万画素となります。
メガは『100万倍』ですから12×100万で1200万。ピクセルを日本語にすると画素。よって『1200万画素』となるわけです。
絶対解像度とは?
さてこのピクセルですが、『ピクセルの大きさは画面によってマチマチ』なのです。
メチャクチャ小さいピクセルの画面もあれば、あんまり小さくないピクセルの画面もあるということ。
例えばiPad Pro 10.5インチと他社製ディスプレイ24インチの縦横ピクセル数を比較してみると……
iPad Pro10.5インチ | 他社製ディスプレイ | |
---|---|---|
画面サイズ | 10.5インチ | 24インチ |
ピクセル | 約370万ピクセル(2224×1668) | 約230万ピクセル(1920×1200) |
なんと、10.5インチのiPad Proのほうが、24インチのPCディスプレイよりピクセル数が多いわけですね。
画面サイズは、iPad Proのほうが小さいにもかかわらず!
つまりiPad Proのほうが、ピクセルがギュッと凝縮されているわけです。
ピクセルがギュッと凝縮されているとどんなメリットがあるのかというと、表示がよりきめ細やかに表示できます。
点描の点を細かく打っていったほうがリアルな絵になるのと同じ理屈です。
ちなみにApple製品が実装するRetinaディスプレイは、ピクセルがあまりに凝縮されすぎて、そのまま表示するとすごく小さく表示されてしまいます。
ピクセルが小さい分けですから、表示も小さくなってしまうわけです。その分、表示領域は広くなりますがやはり見づらい。なのでプログラム的に表示を拡大処理して、人間の目に見やすいサイズにしています。
ただこの辺を説明するとなると、理論解像度やら物理解像度やらが出てきて混迷を深めるので今回は割愛します(^^; この辺の知識が必要になるのはサイト制作とかやっている人くらいですし。
『ピクセルがギュッと凝縮されるほどに画面がキレイになる』とだけ、まずは押さえておけばいいでしょう。
例えば──
『iPad Pro 10.5インチの2224×1668ピクセルいっぱいに画像をキレイに表示させたい』
──ならば、画像も2224×1668ピクセルが必要となります。
さて、いままでの説明で度々出てきました『2224×1668ピクセル』という数字。この縦×横のピクセル数のことを『絶対解像度』と呼びます。
iPad Pro 10.5インチの場合、約370万画素ともいえますが、こういう言い方はあまりしませんね。何百万画素、という言い方はもっぱらデジカメ性能のときに使うくらいでしょう。
例えば、5インチ前後しかないiPhoneカメラで撮った写真は、iPad Proの10.5インチで見てもキレイに見えますが、それはなぜかといいますと、iPhone本体の大きさがいかに小さくとも全然関係なくて、カメラの撮影能力は1200万画素ですので、画面解像度370万画素のiPad Pro 10.5インチにも、十分すぎるほどのピクセル総数を有した写真というわけで、キレイに表示できるのです。
相対解像度とは?
単に『解像度』とだけいった場合、普通は、ここから説明する相対解像度のことを指します。
264ppiとかいう数値のことですね。
この相対解像度とはなんぞやといいますと『1インチの長さにいくつのピクセルが並んでいるか?』という数字です。
この相対解像度を説明するとき、よく、下図のように正方形が用いられますが、縦横の長さを、足したり掛けたりした数字ではありませんのでご注意を。
あくまでも1インチ(2.54cm)の長さ1辺の中に何ピクセル並んでいるか?の数字です。
さて相対解像度とは何を表しているのかといいますと、『ピクセルの密度』を表しています。
上記の絶対解像度で説明したとおり、ピクセルというのは実際の大きさが定義されていません。ディスプレイによって、すごく小さいピクセルもあれば、けっこうデカいピクセルもありますが、どちらも1ピクセルなのです。
だからピクセルの数(絶対解像度)で画質を示そうとしても正確ではないし、いわんや、画面サイズ(インチ数)で画質を示そうとしても意味がありません。
もしも『50インチの超大型モニター! ただし絶対解像度は1×1』なんて画面があった日には──
「おい! 点しか見えねぇよ!!!」
──となり、たんなる邪魔な板ですな(^^;
はたまた『iPad Proと同等(2224×1668)の高性能モニター! ただし画面サイズは50インチ』なんて画面があっても、ぜんぜんキレイじゃないでしょう。50インチともなると、普通は3840x2160(このピクセル数を差して俗に4Kといふ)くらいのピクセル数はありますからね。iPad Pro並でも、50インチではピクセルがぜんぜん足りなくなるのです。
だから画質をより正確に表現するためには、絶対解像度や画面サイズより、相対解像度のほうが正確なのです。
相対解像度は長さではなく『密度』を表しますから、つまりはどれだけ画像をきめ細やかに、高精細に表示できるかの指標になります。しつこいですが点描を思い出してくださいね。点が細かい方が絵が綺麗に描けるアレと同じ理屈です。
だからもしも──
『50インチの超大型モニターで300ppiの高解像度』
──というモニターでしたら、50インチもの大きさがありながら、iPad Proを凌ぐ超高精細となり、極めてキレイなモニターだと思います。めっちゃ値が張りそうですが(^^;
ちなみに50インチ4Kモニターの相対解像度は88ppiですので、iPad Proに見慣れてしまうと、テレビ画質は大してキレイに感じないでしょう。デカくは感じるでしょうが。
さらにちなみにiMac Retina 5Kディスプレイの相対解像度は218ppiなので、27インチもの画面がiPad Pro並にキレイだということになります。凄まじいですな。
ということで画質を表現するには相対解像度が適しているわけです。
この相対解像度を理解するためには、結局のところ『基準となる実体験』が必要となるでしょう。
『基準となる実体験』とは、いまお持ちのディスプレイの相対解像度を知るだけでオッケーです。
例えば、iPad Pro 10.5インチをお持ちでしたら、その解像度が『基準となる実体験』となります。
iPad Pro 10.5インチの相対解像度は264ppiです。
「264ppiって、こんなにキレイなのか!」という実体験、これが大切。
この実体験を基準にすれば、264ppiより低い解像度のディスプレイはiPad Proより画質が悪いことが予想できますし、高い解像度であれば、iPad Pro以上であると予想できます。
もちろん、画質は解像度だけではなく、色の再現性とかいろんな要素が絡んではきますが、解像度は、ディスプレイ選びにおいて一つの基準とはなるでしょう。
まず解像度を比較してディスプレイの目星を付けてから、細かな性能を見ていくというのがいいかと思います。
なお、ディスプレイの仕様には相対解像度が書かれていないことも多いので、その場合はこちらのサイトで計算できます。
画面サイズ(インチ)と縦横ピクセル数(絶対解像度)を入力してやれば相対解像度が表示されます。
いまお使いのディスプレイの相対解像度を計算してみれば『基準となる実体験』のできあがりです。
ただし、いくら画面の相対解像度がよくても、表示させるデータの解像度も高くないと意味がありません。
前述の通り、300ppiの画面でキレイに表示させようと思ったら、データの絶対解像度 or 相対解像度を、画面解像度と同等かそれ以上にしておかねばならない、ということですね。
たとえば、iPad Pro 10.5インチは264ppiですから、スキャンデータを表示させたいときは、印刷用途の264dpi以上で取り込む必要があります。少し余裕を持って300dpiでスキャンしたほうがいいのは前述の通りです。
300ppi以上になってくると、人間の目には違いは分からないといわれておりますので、Appleさんも、相対解像度をいま以上に引き上げることはしないんじゃないかな。
まぁiPhone 7 Plusの相対解像度は401ppiありますが、すごいキレイだけど、オーバースペック気味な気もします。
というわけで、ようやくここまで来ました。
これで画面解像度のお話はあらかたできました。ふぅ。お疲れ様でした(^^;
あ、でもまだ単位の話が残ってた!
画面ではppiなのにスキャン設定ではdpiになっているアレ! スペルの冒頭の『p』が『d』になっているのですよ!
これはいったいどういうことなのか!?
もうちょい続きます(^^;
ppiとdpiの違いはなんだ!?
ppiとはpixel per inchの略で、『1インチ1辺にいくつピクセルが並んでいるか?』ということ。
dpiとはdots per inchの略で、『1インチ1辺にいくつドットが並んでいるか?』ということ。
ピクセルとドットという違いがあるわけです。ではピクセルとドットとは何か?
辞書的にいえば、ピクセルは『色情報の最小単位』で、ドットは『色情報を持たない物理的な点』となります。
でもなんのこっちゃ?なので、こう考えると分かりやすいかなと。
まずピクセルの『色情報の最小単位』とは、ピクセルは物体ではないということ。
色情報とは『色のデータ』のことなのです。
そのいちばん小さい単位がピクセルということですね。だからピクセルを手に触れることはできません、データなので。
画像を拡大しまくると、最終的にはモザイク柄が見えるかと思いますが、アレがピクセルです。
つぎにドットの『物理的な点』とは、『実際に手に触れることができる物体』ということ。
iPad Proの画面ガラスの奥にある液晶基板は、見た目は板状ですが、超拡大すれば『ドットの集まり』ともいえるでしょう。
その液晶基板は物理的にソコにあるから触ろうと思えば触れるわけです。触ったら壊れるとは思いますが(^^;
ちなみにディスプレイのドットは『デバイスピクセル』とも呼ばれます。サイト制作ではデバイスピクセルというほうが多いかな。
そしてドットの『色情報を持たない』とはどういうことか?
『物体であるドット』は、『ピクセルを入れておく箱』のようなものなのです。
まぁRetinaディスプレイなどは、高精細ゆえに、ドットからピクセルが『はみ出して』います。1ピクセルを4ドット(または9ドット)で描画するので。
なので『ドットはピクセルを入れておく箱』というのはあくまで比喩です。そもそも、データであるピクセルは物体ではありませんし。
とにもかくにも、色情報はピクセルですからドット自体は色を表現しません。そこに色情報をもって光り輝く『ピクセル』が格納され、初めてディスプレイは像を結びます。
ということで、dpiとppiの違いは何かというと──
- dpiとは『色情報を持たない物体の最小点が、1インチ1辺にいくつ並べられるか?』ということ
- ppiとは『色情報であるデータの最小点が、1インチ1辺にいくつ並んでいるか?』ということ
──となります。
dpiの単位を使う筆頭は印刷用途のときです。例えば、インクジェットプリンタの出力(印字)性能を表すときにdpiを使います。物理的なインク粒子(ドット)を噴射したりして印字するわけですので単位はdpiなのですね。
プリンタはインクなのでイメージしやすいのですが、困ったちゃんなのがスキャナです。
スキャナは紙や写真をデータ化します。データ化するのですから、単位はppiのほうがいいようにも思えますがdpiが使われています。
これはなぜか?
おそらく、そもそもスキャンは『取り込んだデータを印刷する』ことが前提なのでしょう。例えばコピー機のように。
だから単位は印刷と揃えておかないとやっかいなのだと思われます。『スキャンデータをiPad Proに入れてデータのまま読書』なんて使い方ができるようになったのはごく最近の話ですし。
端的にいえば、入出力性能の単位としてはdpiを使い、画面表示性能の単位としてはppiを使う、と考えればいいかと思います。まぁ画質性能にppiを使うようになったのも、Retinaディスプレイ登場以降のような気がしますが。
さて。
長らくお話してきました解像度についても、これでいよいよシメとなります。
相対解像度264ppiのiPad Proで、自炊書籍をキレイに表示させたいとき、どうしてスキャンは264dpiで取り込めばいいのか?
つまり数値は一緒でも単位が違うわけです。
実は『画面表示については、ppiとdpiは(ほぼ)イコール』なのです。(印刷においては、ppiとdpiはイコールではありません)
コレがまたややこしい話ですが(^^;、単位が違っても、264ppiのディスプレイでキレイに表示させたいならば、264dpiでスキャンすればOKとなります。
実際には、細かい数字を設定できないスキャナもあるので、300dpiなどと、264ppi以上でキリのよい数値になるでしょうけれども、264ppiの画面に、それ以上の高解像度データを表示させても264ppiよりキレイになることはありません。画面が表示できる最高値が264ppiですので、その数値が上限となります。
だからスキャンの際に、1000dpiとか2000dpiとかで取り込んでも、データが重くなり表示に時間がかかるだけなのですね。
ではなぜ、画面においてはppiとdpiはイコールなのかというと、100%表示で『色情報1ピクセル=画面素子1ドット』が基本だからです。つまり1ピクセルと1ドットは一致します。なのでppi=dpiとして問題が出ないのですね。ちなみに印刷は、1ピクセル=1ドットではないわけです。
Retinaディスプレイなどの高精細画面では、『色情報1ピクセル=画面素子4ドット』などとなってしまっておりますが、ppi=dpiで問題ありません。なぜならdpiやppiは相対解像度であり、『1インチ1辺に点が何個並んでいるか?』という密度の話ですから、1ピクセルを何ドットで描画しようとも関係ないのですね。
Retinaディスプレイで問題になってくるのは絶対解像度のほうです。見た目は『横414ピクセル』なのに、画面素子は1080ドットも並んでいたりするのです……! この現象が、サイト制作者泣かせといわれる理由でもあります(^^;
だからサイト制作したり、Webのイラスト描画したりするなら、相対解像度の数値(ppiやdpi)ではなく、絶対解像度の数値(縦横のピクセル数)のほうを気にしてやる必要があります。ちなみに絶対解像度の数値とは、いわゆる『画像サイズ』『ファイルサイズ』の事です。
まとめますと、iPad Proでの画面表示においては、相対解像度の数値は、主にスキャンのときに使う数値となります。そのときの設定はdpiで行わねばならず、画面表示においてはdpi=ppiですから、例えばiPad Pro 10.5インチの相対解像度264ppiでキレイに表示させたいなら、スキャンの数値は264dpi以上にしてやればいい──ということですね(まぁ多少の余裕をもって300dpiがいいでしょう)。
そして絶対解像度の数値は、サイト制作やイラスト描画をするときに使いましょう、となります。iPad Pro 10.5インチの画面いっぱいに表示させたいイラスト描画するなら、縦2,224×横1,668ピクセルの画像にしてやる必要があります。
ふぅ……!
これで画面解像度については──とくに実用面での気になる箇所については、一通り説明できたかと思います!
普段のブログは2日もあれば書けるのに、このエントリーは2週間もかかってしまいましたが、分かりやすかったでしょうか?
ご参考になったなら幸いです(^^)