Macのキーボードを自由に配列できたら、どんなイイコトがあるか?
本日は、ちょっと小耳に挟んだ噂話を題材に盛り上がってみたいと思います。
なんでも、Macのキーボード配列を自由に変更できるかもしれないとのこと。
キー機能の割り当てが変更できるのはもちろん、キーラベル(キーに印刷されている文字列)も自由に変更できるというのです。
キー機能の割り当てを変更できるいままでにもソフトはありましたが、特徴的なのがキーラベルが変更ということ。
じみ〜な機能ですが、ぼくはこれにとても興味を引かれたのでした。
それはどうしてか? をこれからお話していきましょう(^^)
キーが電子ペーパーになる!?
まず最初に、キー配列変更の仕組みを簡単にお話しましょう。
配列を変更するために、キーを電子ペーパーにするというのです。
百聞は一見にしかずということで18秒程度の下記動画をご覧ください。
キーボードの配列(正確には表示ラベル)が見事に変更されております!
この仕組み、いったいどうなっているのかといいますと、キーひとつひとつがモニターになっているんですね。
ただしモニターといっても、MacやiPadの液晶モニターではなく、電子ペーパーという技術を使っています。
電子ペーパーとは何か?
電子ペーパーとは、具体的にいえばKindle Paperwhiteで用いられているモニター技術のことです。
その仕組みを掻い摘まんで話すと、砂鉄をイメージしてもらえれば分かりやすいと思います。
磁石を寄せたところに砂鉄が集まるあの現象。あれを電気的に再現したのが電子ペーパーなのです。
超々微細な白黒の粒子を、超微細なカプセルに閉じ込めて、そこにプラスやマイナスの電気を流します。プラスのときは黒粒子が浮き上がり、マイナスのときは白粒子が浮き上がる。その動作を、気が遠くなるほど数多く実行して文字を形作るわけです。
こうすることで、液晶モニターや紙にはないメリットがいくつか生まれます。
- 物理的な白黒粒子によって文字が作られるので、まるで紙を見ているかのよう。液晶のようにバックライトもいらない。
- モニターが直接光っているわけではないので目が疲れない。
- 液晶より低電力。(いちど文字を表示させれば電力はいらない)
- 紙と違って書き換え可能。
上記4番目のメリット。これがすごい。紙は一度プリントすると二度と変更できませんが、電子ペーパーは、見た目は紙っぽいのにデジタルですから、なんどでも書き換えができるのです。
だからこそ、キーボードのキーに電子ペーパーを用いることで、キーラベルをプリントすることなく、ユーザーが自由に書き換えること可能になってくるのですね。
キーボード配列を変更するメリットとは?
キーボード配列(ラベルや機能)カスタマイズすることで得られるメリットとは何か?
真っ先に上がるのは、Appleさんが『各国の言語に合わせてキーボードを作る必要がなくなる』というメリットですが、これは、直接的なユーザーメリットではありません。その結果Macが安くなるとしたら嬉しいですケド、何万円も安くなるとは思えませんし。
そもそもいままで大して不便を感じていなかったのですから、キーボードのカスタマイズなど必要なのでしょうか?
ファンクションキーをカスタマイズできたらいいな、とは思っていましたが、それは2016年登場のMacBook ProにTouch Barとして実装されました。しかし、便利そうではありますが「だから買い換えよう」というほどのメリットでもありません。
つまりキーボード配列が変更できるようになっても、Appleさんからなんの提案もなければメリットが生まれないのですね。
そこでワタクシ、メリットをズバリ提案したいと思います!
島国ニッポン限定ではありますが、キーボード配列が変更できることにより、ちょいと魅力的な使い方を思いついたのです!
その使い方とはいったい何か!?
それは──親指シフトです。
親指シフトとは?
親指シフトとは、キータイピング技法のひとつ。
キーボードを見ないでタイピングするブラインドタッチ(懐かしいなこの呼び方(^^;)をするために、現在、多くの人がローマ字入力を“強いられている”かと思います。そのほか『かな入力』なんて方法もあります。親指シフトとは、それら入力方式のお仲間ということですね。
特徴的なのは、なんとスペースキーの下にシフトキーがあること。このシフトキーを親指で押しながら、かなキーを他の指で押します。これを同時打鍵と呼びます。
この『同時打鍵』という発想がとてもユニークなのです。
シフトとかなキーを同時打鍵するとどうなるのか?
タイピングがメッチャ早くなるそうなんです。
それも、凄まじいほどに。
現在、ほとんどのキーボードはQWERTY配列というモノなのですが、これは英文を打つために最適化された配列。だから当然、日本語を打つには非効率なんですね。
QWERTY配列であるがためにローマ字入力となるわけですが、ローマ字入力ってよく考えたらおかしいんですよ。
『か』を入力するのに『k』『a』と2回打鍵しなければならないのですから。
当然、1回打鍵より2倍の時間がかかります。
かといってかな入力では、タイピングしなければならないキー範囲が大きすぎるんです。小指でしか押せないキーや最上段キーを多用することになる。そうすると、タイピングミスが増えてしまうのですね。
たとえば『0』キーをミスなくタイピングできるでしょうか? 難しいと思います。ローマ字入力なら最上段は数字だけですが、かな入力だと様々なキーが割り当てられていますから、かなりの頻度で最上段キーを使う羽目になります。
かな入力は、タイピングミスは増えるし、覚えなければならないキーも増えるしで、だからぼくたちはローマ字入力をやむを得ず使っているわけです。
この問題の解決を試みたのが親指シフトというわけです。
シフトとかなキーの同時打鍵という革新的な発想により、『キー範囲は狭いまま』『1回打鍵』を可能にしたのですから!
ですが残念ながら普及しなかったんですね(ToT)
なぜかというと、親指シフトを可能とするキーは配列は『NICOLA配列』というのですが、この配列、スペースキーの下にシフトキーを配置しているわけで、ということはつまりハードウエア的に変更が必要ということ。
デスクトップPCなら外付けキーボードを付けられますが、ノートPCでは絶望的です(-_-)
いわんやMacともなると……外付けキーボードすら対応していない有様(ToT)
親指シフトは、ハードウエア対応が必要だったがゆえに普及しなかったのかもしれませんね。
親指シフト習得が簡単になるのではないか!?
普及しなかったNICOLA配列と親指シフトですが、諦められなかった先人達は、QWERTY配列を強制的に変更する『エミュレータ』というソフトを開発。
世界制覇したQWERTY配列のキーでも親指シフトを使えるようにしました。
でもこの方法……親指シフト習得が非常に困難なのです(ToT)
なぜかというと、キーラベルはQWERTY配列のままなので、戸惑ったときキーを見ても、そこに答えが書いていないのですわ。
だからぼくは、画面に親指シフト配列図を表示して練習していたのですが……もちろん画面と指先には距離がありますから、何度も何度も配列図とキーを視線が往復する羽目になり……結果、習得を断念しました(ToT)
いやもうほんと、文面では表現しにくいですが、筆舌に尽くし難いほどイラリとします(^^; それも、ローマ字入力できる人ほどに。
だから──キーが電子ペーパーになり、キーラベルを自由にカスタマイズできるということは、配列図を何度も見返さなくともよくなり、結果、親指シフトの習得が容易になるのではないか!?と思う次第です……!
タイピングの速度がそれほど重要なのか?
ぼくの勝手な憶測ですが、親指シフトが普及しなかった理由のもう一つとして「世の中の人は、実はそれほど、タイピング速度に不満を持っていない」ということもあるかなと思います。
とりあえず、メールを打つ程度ではローマ字入力で十分、という感じなのかもしれませんね。
でも、親指シフトのタイピングスピードを知らないがゆえに不満を感じないだけ、かもしれませんよ?
なんでも、親指シフトのタイピング感といったら『頭の中の“声”をモニターに念写しているかのよう』らしいのです……!
タイピングの大きな問題点は『頭の中の“声”にタイピングが追いつけない』という点なのです。タイピングに限らず手書き文字でもそうなのですが。
書類やメール作成の時間が短縮できる、などは大した利点ではないのです実は。
文章を書き慣れてくると、思考回路のほうが早くなってタイピングが追いつかなくなります。
これは、「ぼくには文才あるからね〜」と自慢したいわけではなく(^^;、執筆に慣れれば誰でも起こりえる問題だと思います。
タイピングが思考に追いつかなくなると、いちど立ち止まって考えざるを得なくなり、一歩先で(ほぼ無意識に)考えていた“声”が消えてしまうのです。
これが非常にもどかしいのです。
ちなみにぼくは、職業柄、ローマ字入力はすごく早いですが、それでもタイピングは思考に追いつけないのですわ。
だから是非とも『頭の中の“声”をモニターに念写しているかのよう』になる親指シフトを習得したいのですね。ぜひとも。
でも前述の通り、配列とキーラベルが一致していないと、想像を絶する苛立ちだわ、そもそも親指シフト専用キーボードを買ってみたこともあるのですが、なんかいろいろめちゃくちゃ不具合があってまともにタイピングできなかったりして、2度も断念したのですね(ToT) たしか、ATOKと競合してしまったのだったと思います。
電子ペーパーでキーボード配列を自由にカスタマイズできるようになることによって、親指シフト習得が容易になるか!?
Appleさんは、親指シフトなんて知るよしもないでしょうけれども、変幻自在なキーボード、ぜひとも開発して頂きたいですね!