モバイルの未来を5Gから考えてみたり
2020年までに、5Gのモバイル回線をリリースする、というニュースを見ました。
2016年現在はおおよそ4G(または3.9G)ですので、次世代の移動通信規格に当たります。
3Gから4Gにアップしたときは「お〜早くなったなぁ」程度であまりインパクトを感じませんでしたが、5Gに移行されると、けっこう面白い事になるかも、と思いましてエントリーです。
っていうか、そもそも4Gとか5Gとか、さらにはLTEとか何よ? というところからお話していきましょう。
規格とは何か? さらにLTEとは?
3Gとか4Gとか5Gとかは、移動通信規格の世代を表します──なんのこっちゃ?
分かりにくいことは、分解して考えると分かりやすいので、まず『世代』から考えてみましょう。
世代とは?
5Gとは、日本語にすると第5世代ということで、つまり、世代が上になればなるほど早くてすごくなる、と覚えておいてください。
まぁレベルのようなものですね。ちなみに、5GのGとはGenerationの略です。
移動通信とは?
これも説明するほどでもなく、動きながら通信するということで、その代表例が携帯電話。
ということは、意味合いを分かりにくくしているのは『規格』という言葉になります。
規格とは?
では規格とはなんなのかというと、端的に言えば『約束事』です。
国際会議に例えて見ましょう。
国際会議するとき、日本語や中国語やドイツ語やフランス語が入り交じっていたら会議になりません。そこで「みんな英語を使おうよ」と約束事を取り決め、ようやく会議になるわけです。
通信もこれと同じで、いまや何億台もある携帯電話やタブレットに、なんの約束事もなければ、もはや通信できません。iPhone同士は電話できるけどAndroidスマホには電話できない、では困りものですよね。
だから約束事──つまり規格が必要なのです。
規格の世代があがるとは、先の会議で例えると、みんなが流暢に英語話せるようになるようなものですね。若い人のほうが吸収早いですしねぇ(-_-)
じゃあLTEとは何か?
5Gというのが、第5世代の移動通信規格だということはご理解頂けたと思いますが、ではちょくちょく聞くLTEとはなんなのでしょうか?
LTEとは、3Gの息子のようなものなのです。
第3世代の移動通信規格を改造して、すごくしたのがLTEなのです。だから世代で表すなら本来は『3.9G』。つまり第3.9世代の移動通信規格ということなのです。
その役割を正確に記すならば『4Gへ、スムーズに移行するために作られた過渡的な規格』です。
ですが、「0.1しか違わないなら、もはや4Gじゃね?」というザックリな人達がたくさん現れて、どっかの国際団体も「じゃあもう4Gって言っちゃえよ!」とキレました(?)。まぁだからややこしくなったというか……。
つまり『LTE』とは3.9Gの愛称のようなものです。愛称なのに覚えにくい、かつ、技術的には3Gなのに意味合いは4Gにくくられて、分かりにくいことこの上ない愛称なのです。ちなみに正式名称は『Long Term Evolution』。日本語訳は『長期的に進化』。どのみち分かりにくいのです。
ITのお偉い人達は、なんでこんな堅苦しい名前が好きなんですかね?
5Gの何がすごいのか?
なにげに今年(2016年)に、LTE(3.9G)から、ようやく4Gに移行するそうですが、世代のナンバリングも0.1しか変わりませんので、大した影響もないかと思います。
ですが4Gから5Gに変わると、これはちょっと面白いかもです。
なぜなら、5Gは単に速度が速くなる、だけではないからなのです。
現行以上に速度が早くなっても、あとできることと言えば、屋外でアニメ見られる程度でしょう。満員電車でも、魔法少女の変身シーンとか見られます……見たいかどうかはともかく。
つまりまぁ、ドラマ見たりスポーツ見たり、いろんな活用方法はあると思いますが、逆を言えばその程度です。屋外や出先で動画見たりする程度かなと。
そもそも通信速度制限がありますから、これを何とかしてもらわねば、屋外でできることなどたかがしれています。
そう──キャリアの通信速度制限。モバイルネットワークにおいて、これこそが最大のボトルネックなのです。
「iPhoneがサッパリ分からない」と言っている60代知人も、通勤電車でYouTube開いて囲碁動画を毎日見ている程度には活用できているのですが、先頃、通信速度制限に引っかかり、でもそんなこと知るよしもありませんから「iPhoneが壊れた!?」とうちまで相談に来られました(^^; ちなみに通信プランをアップしても……無料のYouTube見るのに1万円以上の通信費を払うのは、なんだかなぁって話です。
で、ぼくが5Gに期待しているのは、この通信速度制限を廃止してくれるのではなかろうか?ということなのですね。
5Gは通信速度制限を廃止できるか!?
この通信速度制限というのは、キャリアが暴利をむさぼるためというよりは、現行では致し方ないことだとぼくは捉えています。
おそらく今の4Gでは、各キャリアとも回線パンパンなのでしょう。通勤電車でYouTube見たいという、ごく当たり前の使い方すら実現させてあげられないほどに。
ですが5Gの世界ではどうなるのか?
ドコモによると『2020年代の情報社会では、移動通信のトラフィック量は2010年と比較して、1000倍以上に増大する』そうです(ドコモ公式ページより)。だからこそ導入するのが5Gでもあるのだと。
トラフィックとは、道路に例えるなら交通量のようなものです。首都高の交通量が、オリンピックの年には1000倍にもなってしまったら……超渋滞どころか橋桁がポッキリ折れそうですね。
そうならないために、道路を新設して拡張しましょう、というわけです。スピードアップはオマケのようなもの。
つまり5Gは、通信の大容量化こそ魅力なのではないか、とぼくは思うのです。
まったくの憶測なのですけれども、通信が大容量化すれば、当然、通信速度制限はなくなるはず。っていうか、スピード速くなったのに上限7ギガとかあり得ないでしょう? じゃあいったい何のために高速化したのよ? って感じですし。
大容量化によって通信速度制限が廃止になることで、モバイルネットワークの活用幅はより広がるのではないか、とぼくは目論んでいます。
さらには、どんな機器にも通信機能埋め込んで、一人で何回線でも使えれば、煩わしい初期設定もしなくてすみます。
こんなキャリアがあったら絶対乗り換え!
5Gがどこまで対応できるかは未知の部分が多いですが、でも、一人で何回線でも使えるなら、そのキャリアに絶対乗り換えます!
例えば、iPhoneは回線付いてるの当然として、iPadは、『回線付のセルラーモデル』か『回線ナシのWi-Fiモデル』か選ぶことになります。回線付だと、iPhoneとは別に回線契約することになりますから2回線契約です。通信費の支払いが実質2倍になります。
これに比べて、一人何回線でも使えるということは、iPadに回線付けても1回線分の料金ですむ、ということです。
つまり回線契約ではなくアカウント契約になるわけです。
5Gになり、回線がほぼ無尽蔵に使えるとすれば、通信速度制限はもちろん、回線毎の契約というのもナンセンスだと思うのです。
キャリア側だって、トラフィック量を気にしなくてすむほど通信が大容量化すれば、収支には影響でないはず。
そうしたら、iPhoneはもちろん、iPadも通信機能がデフォで付きます。もちろんMacBookも通信機能が内蔵。ちょいと面倒なテザリング接続なんてしなくてよくなるし、なによりも、難解なネットワークの初期設定も不要になります。
アカウント認証は、指紋などの生体認証になればベスト。親指を押しつければ、生体データを各キャリアに暗号化通信して照合すればいいだけ。
IT業界では激しく叫ばれているIoT(アイ オー ティー)──『あらゆるモノがネットワークに繋がっている世界』を本気で現実化するならば、ネットワーク初期設定の難解さは、どうあっても解決せねばならないでしょう。
電源のように──プラグを差し込んだら即座に電気が使えるように、ネットワークも、親指で触れたらすぐさま常時接続、というような利便性が必要です。
そもそも、今日に至ってすら、メール設定すら素人には敷居が高いわけですから。ネットワーク設定は、おそらく、普通の人にはチンプンカンプンでしょう。だのに「冷蔵庫の中のマヨネーズが切れそうになったら、Amazonに自動注文されるよ」程度の利便性で、冷蔵庫をネットワーク接続する気になんてなれませんて。iPhoneにメモって近所で買ってくればいいじゃん!
説明遅れましたが、IoTとは、上記の通り冷蔵庫など電化製品始め、あらゆるモノがネットワークに繋がることにより、とっても便利なことができるよ、という考え方です。
ぼくは、IoT単体でそこまで利便性が上がるとは考えられないのですけれども、例えば「家の鍵を閉め忘れた!? でもスマホでロックできるぜ!」なんてサザエさん的シーンがどれほどあるんだ?って思うのですけれども、IoTは、今のIT業界のトレンドなのですね。
まぁアレです、人工知能とセットになることで思わぬ可能性が出てくるかもしれません。あるいは、天才起業家が、とてつもなく便利なことを考えてくれるかもです。
ちなみにIoTって字面、ぼくは泣いた顔文字に見えて仕方がないのですけれども(IoT)
さらにさらに、モバイル回線が湯水のように使えるようになれば、家のネット回線も不要になるでしょう。だから5Gアカウントが1万円前後したとしても、家回線を解約すればおつりがくると思います。
まぁそうなると、プロバイダ業界に激震が走るというか、業界ごと消失しますが。
ちなみにアカウント契約を、1人とするのか1世帯とするのかはビジネスの話ですが、まぁぼくのように独身者も多い昨今、一人1アカウントにして、世帯には家族割り入れた方が効果的かなと。
さらに通信容量が実質無限になれば、これらサービスはどこのキャリアでもできることですので、いち早くやったところが勝つでしょう。そうなると、キャリアもこれまで以上に大変な競争になりそうです。熾烈極まる開発競争に利益度外視のサービス合戦。消費者としては嬉しいですが、やってる方はたまらないかも。まぁでも、D社なんか今まで十分利益出したでしょうし、これがインフラ事業の宿命なのかもです。
通信速度制限ナシで大容量化による他のメリット
真っ先に上げられるのは、地震とか緊急時でも、モバイルネットワークが使えるということですね。
東日本大震災のときは、東京ですら、ケータイからはネットアクセス不能になりましたゆえ(東京だからこそかもですが)。当時、ガラケー併用していたぼくは、初めてワンセグ使いましたからねぇ。緊急時は、通信より放送のほうが情報収集に優れていたわけです。
5Gになったら、これくらいは解消してもらわねば、なんのための5Gなのかわかりません。まぁ震源地だと、電柱全滅したらどうなるとか物理的な問題ありますが。
それと、iPhoneもiPadも端末毎のOSではなく、クラウドOSが実用化するかも、と思っております。
例えば動画見るとき、いまはiPhoneがせっせと働いてました。でもクラウドOSになると、通信の向こうにあるスーパーコンピュータがせっせと働いて、iPhoneは、そのスーパーコンピュータの覗き窓──つまりモニターになるということです。
そうすれば、iPhoneやiPadはそこまで高性能なスペックいらなくなるので、もっと安くなるのではないかなと。
ただ個人的には、なんでもかんでもクラウド利用するより、ピアツーピアでプライベートネットワーク構築した方が効率いいような気がするのですが、ピアツーピアは悪名もあってか、ぜんぜん注目されてないように見えます。(詳しくは『AirDrop活用から見るAppleの未来』にて)
ITの覇者達は、なんとしても、決済関連情報と、それに付随するビッグデータがほしいのかもね? それを得るためには、ピアツーピアじゃダメでしょうし。
まぁ何にしても手段はどうあれ、目的が達成されればいいのです。
ぼくとしては、とにかく、iPadが下敷きのようにペラッペラにさえなってくれれば文句ありません。ペラッペラのiPadが何枚もあって、机の上にもリビングにも寝室にも鞄の中にもあって、マンガを読んだら、あらゆる端末で同期され、同期というか、端末はクラウドマシンのモニターに過ぎませんから、そうなれば、いつでもどこでも、マンガの続きが即座に読めるわけです!
いま気づきましたが、たかがマンガに電子栞を付けておきたいがためだけに、ぼくはここまで壮大な妄想を広げていたのか!? 冷蔵庫のマヨネーズと大して変わりませんでした(^^;
と、いふことでまとめ
莫大な費用をかけてネットワークの利便性を追求していっても、まぁ、マンガに栞を入れられるという程度ということですワ。
本当の技術革新は、人工知能とそれに伴うロボットの開発であり、5GもIoTもその周辺技術に過ぎないという言い訳もできますけれども。
ぼくが足腰立たぬ老人になるまでには、人間と瓜二つのメイドロボ(言うまでもなく美少女)を開発して欲しいと切に望むわけですが、それすらも人間の真似事に過ぎないわけで。
ちなみに某D社は、5G活用の一例として、「朝忙しいお母さんが、モバイル端末を使うことで、台所で朝食作りながら子供が起きてるか分かる」などと、ツッコミ待ちか?としか思えない発表しておりまして、やむを得ず「どんだけ豪邸に住んでるんだおまいら!?」とツッコんでみますが、まぁその程度なのですね。
しかしながら、インフラが整うことによって、思いもしないビジネスが展開するというのもまた事実。スマホがなければ、ウーバーもエアビーアンドビーも生まれなかったわけです。
進化し続けるITインフラをどのように使うかが、これからの金脈なのでしょうね。