iPadと比較すると、ワコム使えない……
ワコム社製Cintiq Companion Hybrid (シンティック コンパニオン ハイブリッド。以下、ワコム製品)を買ったのが2015年7月。
よもやその半年後に、iPad ProとApple Pencilが出るとは夢にも思いませんでした(ToT)
まさかAppleが、液タブ市場に殴り込んでくるとはなぁ。まぁAppleは、液タブ市場に参入したとは考えていないでしょうが。
ニッポン発の世界企業なのでワコムさんにはがんばってほしいところですが……超高性能なiPad ProとApple Pencilにより、ワコム製品がいかに使えないか、ということを知る羽目になりました。
ということで今回は『iPadと比較して、ワコムがいかに使えなかったか』をレビューしてみたいと思います。
なぜワコムが使えないか(1):描画性能
これはぼくの体感ですが、描画性能はどちらも変わらないように思えました。どちらもズバ抜けている、という意味で。
なので描画性能については多くを語りません。
っていうかワコム最大の強みが、こんなあっさり追いつかれるとは。しかも相手は、液晶ペンタブレットではなく汎用タブレットなのですよ?
Apple恐るべし……です。
ということで、比較材料は描画性能以外になってくるわけですが……以下、すべてワコムが負けているように感じます。
なぜワコムが使えないか(2):配線のまずさ
ワコム、配線が多すぎ!
一体化されている配線という謳い文句ですが……アレ、実質4本ですよ(ToT)
写真を見比べれば一目瞭然。
iPad Proはライトニングケーブル1本に、USBアダプター1つなのに対して……
ワコム製品はこんな感じ↓
電源アダプタは別になっているものだから、配線はさらに混迷を極めます。
複数のPCで使おうものなら……画面の裏に顔をツッコミ、パソコンの裏にも手を伸ばし、机の下に潜って電源接続。しかも電源アダプターと配線をドッキングせねばならず不要な長さとなる。電源アダプタも邪魔。
以上でようやくMacと液タブが接続できるのですよ(ToT)
せっかく13インチの液タブ買ったのに、これでは実質、専用デスクがいりますよ。
そもそもの設計思想が「22インチを小さくしただけ」だからこうなるのだと思います。
それでも──iPad Proを買ってからも、ワコム製品を今まで使ってきたのは、ひとえに、iPad ProではMacと接続できないからでしたが……
なんと、iPad Proを液タブ化させることに成功。
ワコム製品と比べ、多少の描画遅延はあるものの、ぜんぜん気にならないレベルなのです。
しかも、MacとiPad Proの接続は実にスマート。ライトニングケーブル1本ですからね。パス抜きする程度なら、なんと、無線接続でも大丈夫!
これにはもう感涙でした。
結果、『本物の』液タブであるはずのワコム製品を全く使わなくなる羽目に。
なぜワコムが使えないか(3):取り回しがしにくい
ぼくが買ったCintiq Companion Hybridは、Androidタブレットでもありますから、スタンドアロンでも使用可能!
とのことで買ったのですが、Androidタブレットとして、単独使用は大してしませんでした。
まぁこれは、Androidがイマイチということでもありますが。
まず何よりも、ワコム製品はデカくて重いのです。13インチなのに、ノートパソコン並みのデカさに重さなのです。
だから、屋外はもとより室内でさえ、取り回せるような代物ではありませんでした。
いえね、最初はがんばってソファとかベッドとかでもお絵かきしてたんですが……すぐしなくなりましたよええ重すぎて。
人間、やっぱりガンバルのはよくないのです(爆)
あとは、やっぱりAndroidは動きがもっさりしててイマイチなんですよねぇ。あらゆる操作性が、iOSと比べてイマイチなのです。使えないほどではないのですが、iOSになれているとガッカリ感が半端ありません。
例えばスクロールの動きが自然じゃないとか。タッチパネルの反応が一瞬遅れるとか。
細かいことなんですが、iOSに慣れてると小さなストレスになるんですね。そして塵も積もれば山となり、やがて使わなくなっていきます。
コレと比べてiPad Proは、いまや、お絵かきだけでなく普段のメモ代わりにまで使っています。それだけ取り回しがしやすいということ。
12.9インチという大きさでも驚くべき取り回しやすさですから、9.7インチのiPad Proともなれば、コンパクトになって、想像絶する取り回しやすさだと思います。
でもまぁ「Androidタブレットでここまで描画できるなら、iPadでペン入力できればさらにすごいのでは?」と気づけたので良しとしますかね。まさかその半年後にApple Pencilが登場するとは思いませんでしたが……。
なぜワコムが使えないか(4):携帯できない
『配線のまずさ』『取り回しのしにくさ』から、当然、携帯性皆無。
配線入れるのに専用ポーチ必要だし、ワコム製品本体もノートPC並みに重いし。
これをMacBook Proと一緒に持ち歩こうものなら……バッグの底が抜けそうです(ToT)
なぜワコムが使えないか(5):画面が汚い
まぁ……iPad Proが出てくるまでは、ワコムの画面はマシなほうではありましたが。
いまや、Retinaディスプレイの美しさは比類なきものになりましたね。どうひっくり返してみても、ワコム製品が勝てる余地ありません。
iPad Proは、もう紙に書いているかのような美しさです。ダントツです。エクセレントです。
比べてワコム製品は、やっぱり『画面に描いている』という無理やり感が否めないのですね。
『紙に描いているかのよう』なのと『画面に描いている』では、描画感覚が雲泥の差ですよ。
なぜワコムが使えないか(5):タッチパネルが反応しない
ワコム製は、3回ほど買い換え、毎回毎度「タッチパネルぜんぜん使えないじゃん!」と失望していました。
でも今までは、ワコムに代わる製品がなかったから、タッチパネルは諦めていました。
ここにiPad Proが出てきたわけですから、言わずもがな……
例えばワコム製品は、ペン先が画面に近いだけで誤作動を起こします。ペン先が画面に近いと、二本指をいくら広げても拡大されません、ペンが反応しているから。だからペン先を画面からしっかり遠ざけねばなりません。もちろん、手のひらをくっつけたままでもダメです。つまり右手で描画しているなら、右手はキッチリ離さねばならないのですね。しかも、ここまでしてもスムーズな拡大縮小、とは言いがたい……。
こんな操作、タッチ操作といえましょうか?
iPad Proは、アプリによって多少の優劣はあるものの、おおよそ自然な拡大縮小ができます。回転機能がないアプリが多いのにびっくりしましたが、どっこい、前述の取り回しやすさにより、iPad Proそのものを回転させてしまったほうが描きやすいくらいでした。
まとめ:なぜワコムは使いにくいのか?
以上、ぼくがワコム製品使わなくなった理由でした。
いえね、ワコムには恨みも何もありませんが……すみません。
でも、性能でここまで差ができてしまうといかんともしがたい……。
けっきょく、設計思想が抜本的に違うから、こういう結末になるのだろうと思うのです。
『どこまでも紙を目指している』それがiPadなのです。
これに比べてワコム製品は『いつまでも画面を改良していた』。
だから、あっという間にiPadに水をあけられてしまったように感じます。
後塵を拝したワコムが、今後どれだけiPadに近づくことができるのか。はたまた全く別のコンセプトを生み出せるのか?
影ながら見守りたいと思う今日この頃です。